移住者は得をしている

移住者というのは得している

欧州に移住しているシリア難民や日本国内の紛争などによる難民を非難する話ではなく、日本の地方へ移住する人々の得している話です。新潟へ移住して感じることをまとめてみました。

 

 

 マスメディアを始めとするメディアで地方郊外への移住が多く取り上げられる時代。インターネットの普及でデバイスひとつでどこでも仕事ができ、購買ができる時代。しかし何よりも2011年3月の東日本大震災が発生、2014年第2次安倍内閣の掲げた’地方創生’で首都圏、大都市以外が陽の目を見る時代がやって来ている。少子高齢化の向かい風を行く若者たちが生まれていく。私もその一人に含まれるのだろう。

 私の出身は千葉県は房総半島のJR線すら通らないような’田舎’である。関東を出ると千葉県にも田舎があるのだと驚かれることも多い。ディズニーランドだけが千葉県ではないのだ。11年前合併したいすみ市。3つの町のうちの出身町の公共交通機関は第3セクターの私鉄、市内巡回バス、JR駅へのシャトルバス。車社会である。中学校が1つ小学校が3つ。取り立てた企業があるわけでもない、チェーン店の飲食や服飾店はなくかろうじてコンビニが3件。市の現在の世帯人口は以下の通り(いすみ市市政情報より引用)
世帯数 16,887戸
人口  394,55人(2015年よりー31人)
内 女性 20,091人
  男性 19,364人
 しかしこの市にとどまり地域おこしに一役買っているのではない。私が選んだのは新潟県の人口20万都市、長岡市である。Iターン就職であるが総務省の地域おこし協力隊などの制度の利用ではなく一般企業への新卒就職だ。
地域振興の情熱があるのなら自分の生まれ故郷こそ町おこしするべきでは?振興する伸びしろのある市なのでは?と疑問に思うかもしれない。しかし理由は幾つでもあるので列挙したい。
・移住者がもともと多い
いすみ市は外房つまり海に面した地域がある。旧大原町そして旧岬町側は一宮町にも近い。サーフィンで首都圏から訪れたり別荘を持つ有名人、ついにはサーフィン移住者がいる。アメリカ西海岸の娯楽が田舎に恩恵をもたらした。
・東京に遠過ぎず、近過ぎず
JR大原駅から東京駅まで有料特急列車(¥2,590)は1時間18分。各駅停車朝夕の通勤快速列車で1時間40分程度である。車の場合約2時間。東京へ週末などにふらっと行ける距離なのである。
・地域で悪目立ちしそうである
ここに来てやっと話の本質である。なぜ地元の町おこしをしないのか。ムラ社会での体裁を考えたためだ。地元の少子高齢化を解決したい。もっと他の地域ないし海外に魅力を発信したいと思いたつ。けれど町おこしというものはうちの町では見えざる手的に行われるものというのが私の考えである。誰かが抜きん出て先導するというのは皆横並びで生きる社会と相反する。マイルドヤンキーの印象を受ける。ならば役場に就職するんだなというところだろう。そんな共同体だから外からの移住者への視線は冷たいのである。地域住民にとって、あっちの人たちとうちらという見え方の対立構造だ。
 新潟県長岡市に越して来て1年半が過ぎた。
移住者の私には我が家族の〜がナントカという活動をしている。町の消防団に入らない。どこどこの奴と結婚して、などという世間体がない。しょっちゅう夜遊びして一人暮らしのアパートに帰る。特権を利用して2年目の今年は様々な場所に赴いてみた。市役所を中心とするエリアで長岡市意識高い系老若男女が活動している。私と同じ県外出身者もいるが、結婚して嫁入り婿入りした人々、新潟の大学を出て長岡で働くそして人農業事業の地域おこし協力隊である。10年前5市町村が合併してからそれぞれの地域から飛び出したり旧地域に還元したりして市民活動が行われているようだ。


合併し人口20万の都市といえど、狭い人間関係の年だ。行動力、発言力あるいは財力なのだろうか?顔が広い町の代表者のようなUターン者をハブとして長岡市意識高い系コミュニティーが形成されている。中心エリアの市民団体などのイベントに参加して初めて知り合った人には必ずフェイスブック上で共通の知り合いにあげられる人が10人はいる。意識高い系市民のコンプリートでもできそうだ。けれど何よりもありがたいのはそういったUターンの人々は移住者に優しい。ヨソ者扱いがない。県外のコミュニティーに入っていった経験がそれぞれあるのだろう。町の代表者のUターン者たちの顔の広さを通じたり自分の足で稼いだり、知人が増えた。ディスるけれど灯台下暗しなことをUターンの人たちと話すこともある。これも移住者の特権な気がする。安心できるコミュニティーに混ざることができて、SNS上や口コミの長岡のいろいろな情報がどんどん入ってくる。所詮私はヨソ者なので、長岡の市の事情について第3者目線でズケズケ言う。残り3ヶ月いくら単身者のための不動産が豊富とはいえ、地域住民の中に入っていって’うちら’側に斬り込む移住2年目が過ぎそうだ。今後とも私と同じUターンやJターン者と長岡の人を巻き込んだコミュニティーができあがる3年目になりそうである。